「戦争というもの」半藤一利 読後感

半藤一利の「戦争というもの」昨日(2021/06/28) 読了しました。
一気に読めた。

あの戦争下の日本とコロナ禍にある今の日本が重なって見えるのはわたしだけだろうか。当時の大本営や政治家重臣たちが、今の菅政権・官僚に類似していると思えてならない。

あの太平洋戦争で1千万人もの日本人が兵隊や軍属として戦い、戦死者は実に240万人に達した。そのうち70%はほぼ餓死だったという事実には憤りを覚える。これはもう人災ではないか。軍上層部の無策ぶりは、この書物であちこちに書かれているけれど、この70%もの餓死者を出したことは、日本軍最大の過ちだと思う。

他にも、大本営トップや政治家重臣の、情報収集能力の欠如、国際感覚の欠如はあきれるばかり。3国同盟が太平洋戦争の導火線に火をつけた政策だったのに、東条英樹はそれがわかっていなかったこと、硫黄島守備隊や沖縄は本土決戦のため見捨てられたこと、大和は勝つ見込みのない、片道切符で送り出されたことなど、その無策ぶりをあげたら、きりがない。

著者の半藤一利が引用した若槻礼次郎のことばは重い。「理想のために国を滅ぼしてはならない」
菅総理に「オリンピックのために国を滅ぼしてはならない」と言ったら言い過ぎかもしれないが、そういいたくなるような日本になっている気がしてならない。